日本代表「選外」の乾貴士が、エイバルの人々に贈るサッカーの喜び (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 得点だけを見れば、決して高いレベルの争いではないが、ルベン・ペーニャ(22試合924分出場、1得点)、べべ(16試合452分出場、2得点)と、左サイドのポジションを争うライバルたちは乾の数字(19試合1388分出場、0得点)を上回っている。

 数字至上主義でいけば、ホセ・ルイス・メンディリバル監督がルベン・ペーニャやべべをもっと積極的に起用してもおかしくはない。それでも乾を起用しているのは、チャンスメイクやドリブル突破、スペースを消すサボらない守備、監督の指示をしっかりと守る忠実性といった、現場でしかわからない、数字で表せないパフォーマンスを高く評価しているからだ。

 先日、W杯予選UAE戦の日本代表メンバーが発表された。リストの中に乾の名前はなかった。選手の好き嫌い、今まで一度も呼んでいない、大事な試合で新選手を試す冒険はできない、左サイドは激戦区、得点を決めていない......理由はいろいろあるだろう。

 だが、乾はハリルホジッチ日本代表監督が招集の条件にあげている「所属クラブでプレー」を、リーガエスパニョーラという世界トップクラスのリーグでクリアしている選手である。個で勝負もでき、守備でもしっかりとプレスをかけることのできる、好きなタイプの選手のはずだ。

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