バルセロナと岡崎慎司。CL史に残るビックリ仰天劇を起こしたもの (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 リバプールの当時のキャプテン、スティーブン・ジェラードは、何かに取り憑かれたように、必死の形相でボールと相手を追跡していた。セビージャ戦の岡崎のように。

 パリSGをカンプノウに迎えた第2戦。バルサも04~05のリバプールと同じ布陣(3-4-3=3-3-3-1)で臨んだ。超攻撃的布陣。ひと言でいえばそうなるが、大逆転劇を語る際、この布陣変更は外せない要素になる。

 後ろは気にするな。ひたすら前に出て攻めよ。ルイス・エンリケはその想いを、布陣という具体的な手段で選手に伝えた。指示が明快だったからこそ選手の背中は押された。

 ブックメーカーは現在、そのバルサを優勝の本命に推す。2番手は、決勝T1回戦で、アーセナルを木っ端微塵にしたバイエルン。3番手に昨季の覇者で2連覇を狙うレアル・マドリードが座る。

 バルサ、バイエルン、R・マドリードの3強を、アトレティコ・マドリードとユベントスが追う。この展開は昨季とほぼ同じだ。ここ数年来の傾向でもある。上位の顔ぶれに特段の変化はない。

 見どころも同じだ。CL史上、初の連覇達成なるか。過去4シーズン、バイエルン、R・マドリード、バルサ、R・マドリードという順番でそれぞれ2連覇にトライしたが、いずれも失敗した。とはいえ、3強の強さに変化はなし。2シーズン続けて勝てないのが不思議なくらいだが、2年目の途中になると、危うい感じが見えてくることも確かなのだ。

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