清武弘嗣を襲う不運の連鎖。ナスリ中心のチームになったセビージャ (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

 ナスリの加入は、清武ほどではないにせよ、かつてのセビージャの王様、フランコ・バスケスのプレーにも大きな影響を与えている。バスケスはここ数試合、開幕直後のような目のさめるようなプレーを披露することができず、サポートされる側からする方へと、その役割を変えた。そのことからもナスリのチームの中での存在がどれだけ大きいものになっているかはわかってもらえるはずだ。

 さらに清武にとって不運なのは、自身のプレースタイルが先発型であることだ。日本代表MFが総合的に高いレベルにあることは間違いない。だが、交代で途中出場した時に試合の流れを変えることのできる攻撃力や守備力を持っているかと言われると、残念ながらノーだ。突破力に優れたビトーロやホアキン・コレア、守備力に秀でたビセンテ・イボーラといった一芸に秀でたチームメートをサンパオリが選ぶのも仕方がなく、現実的にはナスリが負傷した場合の交代出場が、清武にとって可能性の一番高いオプションだ。

 そのナスリがアラベス戦、後半に負傷した。清武がメンバー入りしていれば、きっと試合に出ていたに違いない。だが、日本人MFの名前はリストにはなかった。清武にとっての不運は、やはり定位置争いをしているガンソがナスリに代わって入ると、この試合でシーズンのベストプレーに選ばれてもおかしくないスーパープレーを披露したことだ。

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