ポグバはマラドーナ×20倍=135億円。移籍金が天井知らず

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 思えば、サッカー界も遠くまで来たものだ。

 1984年、当時23歳だったディエゴ・マラドーナが、バルセロナからナポリに移った時の移籍金は500万ポンドで、1996年にロナウド(当時19歳)がPSVからバルセロナへ移籍した時の費用は1320万ポンド。どちらも当時の世界記録だった。

 2001年にレアル・マドリードがジネディーヌ・ジダン(同29歳)の獲得に際してユベントスに4600万ポンド、当時のレートで80億円に近い金額を支払った時、この最高記録が破られることは永久にないのではないかとも言われていた。

 実際、その後8年間はそうだった。しかし、世界経済が当時陥っていた不況から回復するとともに、FIFAのグローバル戦略が奏功してこのスポーツの人気が世界的に高まり続けると、2009年にはクリスティアーノ・ロナウド(同24歳。マンチェスター・ユナイテッドからレアル・マドリードへ)が8000万ポンド、そして2013年にはガレス・ベイル(同24歳。トッテナムからレアル・マドリードへ)が8500万ポンドと、あっけなく移籍金の最高額を更新してしまう。

 後者は当時のレートで約130億円に上り、レアルのアシスタントコーチを務めていたジダンも「理解できない。そんな金額に見合う選手はひとりもいない」と嘆いた。

 それでも、時代の流れは止まらない。資本主義は加速度的に先鋭化され、優良な投資対象として、あるいは大富豪たちの個人的な趣味の一環として、フットボールにはより多くのカネが入るようになった。そして今夏は、28歳のゴンサロ・イグアイン(ナポリからユベントスへ)が7530万ポンド、29歳のフッキ(現30歳。ゼニトから上海上港)が4610万ポンドで取り引きされた。

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