手拍子は名物に。アイスランド敗退も、ハッピーエンドでEUROを去る (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 実際、フランスはかなり慎重に試合に入っていた。試合序盤、ボールを持っても後ろでじっくりと回す様子は、アイスランドを恐れているようでさえあった。白のユニフォームが形成するコンパクトな守備ブロックの前に、フランスは恐る恐る攻め手をうかがっている状態だった。

 にもかかわらず、DFライン背後へのパス一本と、CKで簡単に2点を取られてしまった。これでフランスはプレッシャーから解放された。もう無理をする必要はない、と。

 元々、力の差がある顔合わせである。フランスは余裕を持ってパスをつなぎ、アイスランドが食いついてきたところで、攻撃をスピードアップさせた。何本ものワンタッチパスが連続してつながる様は、これまでのフランスの試合ではあまりお目にかかれないものだった。

 前半を終え、スコアは絶望的な0-4。もはや勝負は決した。アイスランドのラガーベック監督は否定していたが、疲労の蓄積が選手たちを襲っていたことは間違いないだろう。

 事実、フランスのグループリーグ初戦が6月10日だったのに対し、アイスランドは14日。これが5試合目ということは、フランスのほうが平均して中1日ずつ多くの試合間隔で戦ってきたことになる。

 加えて、選手層が薄いアイスランドは、選手を入れ替えながら連戦をこなす余裕がない。レギュラーメンバー11人を固定して戦うことで戦術的な熟成は進み、今大会の好結果につながったのだろうが、おのずと長期戦を戦い抜くうえでの限界も見えていた。

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