ドイツからくも4強進出。苦戦の原因は指揮官レーヴの守備的な選択 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 攻撃はこれまでに比べて威力半減。とても中途半端だった。3バックは、5バックと紙一重の布陣だ。5バックになっている時に、相手からボールを奪い、攻撃に転じようとしても、サイドでボールを受ける人がいない。よって、ピッチの中央でボールを繋ぐことになるが、難易度は上がる。安定感にも乏しい。攻撃のスピードも上がらない。スピード感を上げようとすれば、失敗覚悟のカウンターになる。

 しかし、ドイツはそうしたサッカーを、本来は好まない。3-5-2を敷きながらも、相手を正攻法で崩そうとした。イタリアとの最大の相違点は、まさにそこになる。偶然性を狙おうとするイタリアと、確実に狙おうとするドイツ。ドイツは布陣との適性でイタリアに劣った。その結果、本来の長所を、ほとんど発揮することができなかった。惜しいチャンスは何度か作ったが、決定機というほどではなかった。

 もっとも、左サイドの深い位置をえぐることに成功した65分の先制ゴールのシーンだけは別だった。GKキックからの流れで、サイドに開いたCFマリオ・ゴメスが左サイドでボールをキープ。粘っているその内側をヘクトルが突き、マイナスに折り返すと、走り込んできたメスト・エジルがドンピシャでそのボールを枠内に叩き込んだ。

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