清武弘嗣、セビージャに正式入団。サンパオリ体制で「仕事場」はどこか (2ページ目)
サンパオリイズムの象徴と言える選手がアルトゥーロ・ビダル(バイエルン)だろう。戦士の気風を持ち、守備でボールに食らいつきながらも、冷徹な攻撃の起点になれる。攻守に間断なく働けるプレーヤーだ。
しかし、これは日本で言う「ハードワーク」には単純に置き換えられない。
アルゼンチン人指揮官は選手に動きの質の高さを求める。戦術的に平凡な選手を好まない。相手選手に食らいつく守備を続けるには、体力以上に勘どころのよさと読み、集中力を第一とする。
なによりサンパオリの守備は攻撃をするためであって、守り抜く考えは毛頭ない。例えば、3バックが3人とも身長170cmのときもあるが、それはラインを下げずに戦うことを意味している(当然だが、長身FWに押し込まれてしまうと分が悪い)。守りに入るという選択肢は発想になく、ラインを浅くして前からプレスをかけ、敵陣においてプレーする時間を長くする。オフェンシブ、アグレッシブな気風である。
3-4-1-2、もしくは4-3-1-2と言われるシステムも、役割は独特と言える。
GKは広大なスペースをカバーするためにクラウディオ・ブラーボ(バルセロナ)のようにフィールドプレーヤーの要素が問われる。CBはガリー・メデル(インテル)が体現したとおり、勇敢さと球出しのよさ、スピードが欠かせない。両ワイドは持久力、縦への推進力、クロスの精度。ボランチはテンポが作れる選手と、PULMON(肺)と呼ばれる機動力のある選手らのミックス。トップ下は独創性とチャンスメイキングの能力。2トップは猛烈なスピードと得点力が条件となる。
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