タラゴナ鈴木大輔、1部昇格プレーオフへ。「ヒリヒリした感じを楽しむ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 一方、攻撃陣はアラベスを押し込む。カメルーン代表のエマナがドリブルでマーカーをはがして突破できることで、一気にチャンスが広がった。ところが、トップに起用されたメキシコ人FW、アニバル・スルドがブレーキで、決定機をことごとく外してしまう。

 スコアレスのまま前半が終わり、後半が始まってすぐ、「レガニェス先制」の一報が入る。ラジオで他会場の模様を追うファンは、それに敏感に反応。後半に入っても好機を逃し続けた自軍への苛立ちが重なり、鬱々としたムードが流れかける。

 しかし、嘆きは一転して歓声に変わる。後半65分だった。CKから、鈴木とセンターバックでコンビを組むシャビ・モリーナが勢いよく突っ込み、ゴールに叩き込んだ。

 1-0とリードして以降、スタンドの関心はレガニェスの結果に向いた。試合が目の前で行なわれているのにバーチャルな戦いをしている、という奇妙な雰囲気が生まれる。そこで他会場のゴールをレガニェスの失点と勘違いしたファンが叫び出すと、それに呼応して一斉にスタンドが反応。しかし、早とちりだった。さらに数分後、実際にゴールが報じられ、ピッチサイドのラジオレポーターも選手に伝えたが、今度はオフサイドで取り消されていた。

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