CL決勝は負けてなお強し。闘将シメオネとアトレティコの確かな成長 (2ページ目)
そんな"たちの悪い選手"について、サンパイオからあらためて話を聞いたときには、シメオネに対して好印象を抱いたはずはなく、まして人格者であるべき指導者として成功するなどとは想像もしなかった。
だが、今、目の前でヨーロッパ屈指の強豪クラブにのし上がったアトレティコ・マドリードを指揮しているのは、紛れもなく"あの"シメオネだ。選手を荒々しく鼓舞し、アトレティコを戦う集団に仕上げた姿は、まさに頼もしきリーダーそのものである。
今年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝は、レアル・マドリード対アトレティコの対戦となった。2年前とまったくの同一カードである。
だが、同じなのは名前だけ。その中身、つまり、互いの力関係には明らかな変化が見られた。
2年前のアトレティコは、まだチャンピオンズリーグにおける「伏兵」に過ぎなかった。
実際、決勝では首尾よく前半に先制した後は、守りを固めてレアルの攻撃をしのぎ、逃げ切り勝ちを狙った。その結果、試合終了直前に同点ゴールを許すと、延長では立て続けに3点を失い、力尽きた。善戦と言っていい試合内容だったのは確かだが、同点に追いつかれた時点で、再び勝ち越すだけの余力はアトレティコには残っていなかった。
しかし、今回は2年前とはまったく逆の試合展開となった。
今年の決勝は前半の、しかも15分という早い時間にレアルが先制。仮に互いの力関係が2年前のままだったら、このままレアルが(下手をすれば追加点の2、3点も奪って)苦もなく逃げ切っていただろう。
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