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CL決勝は負けてなお強し。闘将シメオネとアトレティコの確かな成長

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Nakashima Daisuke

 ピッチ上で繰り広げられる熱戦が延長に突入しようかというとき、15年ほど前、セザール・サンパイオにインタビューした際に、こんな話を聞いたことをふと思い出した。

「彼は人を苛立たせる天才だ」

 かつてJリーグ(横浜フリューゲルス、サンフレッチェ広島や柏レイソルなど)で活躍した、元・ブラジル代表の名ボランチは、ブラジルとアルゼンチンとのライバル関係について尋ねると、アルゼンチンの選手に見られるある特徴について語ってくれた。

 その特徴とは、アルゼンチンの選手は非常に「ずる賢い」ということ。試合中でもあの手この手で相手選手を挑発し、精神的に揺さぶりをかけてくる、というのだが、なかでもサンパイオが「典型的なアルゼンチンの選手」であり、「人を苛立たせる天才」と評したのが、当時アルゼンチン代表選手だったディエゴ・シメオネ。すなわち、現在、アトレティコ・マドリードを率いる監督である。

指揮官として2回目のCL決勝に臨んだアトレティコのシメオネ監督指揮官として2回目のCL決勝に臨んだアトレティコのシメオネ監督 当時のシメオネと言えば、1998年ワールドカップ・フランス大会で、イングランド代表のデビッド・ベッカムを執拗なマークで苛立たせ、ついには自らへの報復行為に及ばせて、退場に追い込んだことで有名だった。

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