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ドイツ杯決勝。香川真司が敵将グアルディオラに鍛えられたこと (3ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by Getty Images

 前半戦の対戦時にはアロンソを抑えるだけでよかったが、この試合で香川はペップに混乱させられた。基本的にはアロンソを抑えればよいのだが、CBのジェローム・ボアテングとインサイドMFのフィリップ・ラームがアロンソの周りで絶妙なポジションを取り、香川もどうマークに付けばよいか分からなかった。最終ラインとはいえ、パス能力の高いボアテングとラームをフリーにすれば、効果的なパスが前線に供給されるかもしれなかったからだ。

 結果、前線での守備は混乱した。ボールを奪っても陣形は崩されており、カウンターに移れる状態ではなく、すぐに奪い返されることも少なくなかった。幸いこの試合では守備陣が1失点で耐え、PK戦の末に決勝進出を果たすことができたものの、バイエルンの強さは疑いようがなかった。

 ペップはそこからさらに改良を加えてきた。今季の前半戦、ドルトムントは1-5とまさかの大敗を喫し、香川も目の前で2つのアシストを決められた。それも自陣ゴール前ではなく、相手の最終ラインで、だ。この日ペップが披露したのは、最終ラインからの一発の崩しだった。

 この試合でも香川に課せられた守備のタスクはアロンソのマークだった。ただ、アロンソのすぐ近くにポジションを取るCBボアテングもフリーにしてはならないことは、トーマス・トゥヘル監督から指示されていたし、香川自身も前回の対戦での経験からその危険性をよく分かっていたはずだ。

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