主役はメッシではなくスアレス。バルサ優勝の今季リーガで起きたこと (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 一方、クラブにとっては同監督の招聘が結果として誤算だった。前監督カルロ・アンチェロッティが選手に気持ちよくプレーをさせることを優先、アメを与えすぎる監督だったことから、フロレンティーノ・ペレス会長はムチを振るうことのできる下部組織出身の監督を招いた。だが、現役時代に輝くキャリアのないラファ・ベニテスの言葉に、スター選手たちが耳を傾けることはなかった。

 その後、トップクラスの監督未経験のジネディーヌ・ジダンが就任すると、レアル・マドリードは12連勝を達成し、優勝争いを続けることになった。

 ストライカーに泣かされたのは3位アトレティコ・マドリードも同じだ。優れたストライカーの系譜を持つアトレティコだが、ポルトから獲得したジャクソン・マルティネスがチームに全く馴染めず、冬の移籍市場で中国へと移籍。シーズン終盤、今季で契約の切れるフェルナンド・トーレスが調子を上げたことは朗報だったが、くさびの打てる高さと強さのあるCFがいれば、さらに豊富な攻撃オプションを構築できたはずだ。

 指揮官ディエゴ・シメオネの来季のFW構想に入ってくる可能性があるのが、今季、乾貴士とともにプレーをしたエイバルのボルハ・バストンだ。乾も「バストンは懐が深いし、安心してボールを預けられる」と信頼を置くスペイン人FWは、レンタルのためアトレティコへの復帰が既定路線。夏の移籍市場での動向が注目される。

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