2部降格決定の川島永嗣。「人生、終わりかも」と思った1年を振り返る (4ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 リエージュというクラブの文化なのだろうか。サポーターはとにかく前に出るGKのプレーに沸く。その一方でミスを叱責する。カテナチオのイタリアや、GKが人気のドイツとはまた違うGKへの注目度の高さがあった。そこで求められるものと、自分が望むものとの違いは日に日に強くなるように感じた。

「その3年間、自分が足で踏ん張ってるつもりでも、その場にいることが難しいような状況だったんですよね。自分では変わってないように思っても、でもそれでも自分がブレてる部分はあったと思う」

 もしかしたら自分は停滞し、スタンスにもブレが出ているのではないかと思い始めた。ブレを感じたまま成長を望むことは難しく、環境を変えるのは自然の選択だった。

「で、スタンダールじゃなくて違うところでやってみたいなと。ベルギーでは5年やったし、ベルギーと違う国はいっぱいあるし、自分が違う国に行ってもやれるというのを証明したかった。そういう新たな経験が自分にとってプラスになると思って」

 行き先が決まらないままでの退団はよくあること。だが、その後7カ月も実戦から遠ざかることになるとは、予想もしていなかった。

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