2部降格決定の川島永嗣。「人生、終わりかも」と思った1年を振り返る (2ページ目)
だが、しばらく時間が経つといろいろなことに気づき始めたという。天気は悪く、昼は短いが、なんだか緑が豊かで濃い。それまで暮らしたベルギーや、訪れることの多かったオランダ、ドイツ、フランス、若い頃に滞在したイタリアとも街並みは違う。スーパーマーケットに行けば、野菜の鮮度も悪くない。ダンディ・ユナイテッドとの契約に際しては、ビザの発給で時間がかかることになるが、それも他の西欧諸国と違う"きちんとしてる"ことの表れだと好意的に捉えた。
「ヨーロッパって、ひとくくりにして、だいたい同じようなものかなと思ってたから、意外と違うんだなって思った」
欧州で3チーム目となるスコットランドでの挑戦は新鮮なものに感じられた。12月29日、ようやくダンディ・ユナイテッドが入団を正式発表した。そこに至るまでの旅路は、それはそれは長いものだった。
15年5月、14~15シーズン終了とともに前所属のスタンダール・リエージュを退団。所属先が決まらないまま欧州の15~16シーズンが始まり、移籍マーケットは閉じてしまった。9月、10月と、練習先さえままならない時期も経験。現役日本代表選手としては異例のことだった。耐えがたきを耐える時間だったのは間違いない。だが忍耐そのものは今に始まったことではなかったという。「"耐える"だけで言ったら、スタンダールで試合に出られなくなった時点からだいぶ耐えていましたけどね」と苦笑いした。
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