追悼ヨハン・クライフ。彼がいなかったらサッカーは違うものになっていた

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

3月25日、オランダ対フランス戦でスタンドに掲げられたヨハン・クライフの写真3月25日、オランダ対フランス戦でスタンドに掲げられたヨハン・クライフの写真 現代サッカーに最も影響を与えた人物を1人述べよと言われたら、いの一番に名前が挙がらなければならない人物、ヨハン・クライフが亡くなった。この人が、サッカー界に存在しなければ、サッカーは観るスポーツとして、ここまで発展を遂げただろうか。高い娯楽性を内包するスポーツであり得ただろうか。20%増。それぐらい大きな役割を果たした人、偉人だと僕は思う。

「オランダの英雄」「伝説のサッカー選手」「空飛ぶオランダ人」等々、訃報を伝えるニュースは紹介しているが、それでは足りない。貴重さに迫ることができていないと思う。

 選手としての魅力と、監督、指導者としての魅力。クライフには2つの側面がある。分かりやすいのは選手としての魅力だ。

 クライフの選手としての絶頂期は、1974年西ドイツW杯。その時、僕は中学生で、日本で中継された試合は西ドイツ対オランダの決勝戦のみだった。バルセロナ時代の映像も、テレビを通して頻繁に流れたわけではない。当時、情報の取得は大半がサッカー専門誌経由。そうした意味でクライフは伝説の選手だった。

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