コリンチャンスに合格した「雑草ドリブラー」蒔田泰広とは何者か (3ページ目)

  • 栗田シメイ●文・撮影 text&photo by Kurita Shimei

「(ブラジルでは)欠点を修正するのではなく、いいところをとことん伸ばしていこうとする点が優先されるのでしょうね。コーチたちも皆、そんな観察眼を持っているのかもしれません。蒔田のコリンチャンスの入団テスト突破を受けて、日本の指導者と海外の指導者では、選手を見るポイントが違うんだな、と改めて痛感させられました」

 そうしてブラジルでチャンスをつかんだ蒔田だが、どんな思いを持ってブラジルでプレーしていくのか。

 ブラジルは、年間数百人もの選手が海外クラブに移籍する、世界でも有数の“選手輸出国”である。それだけに、ヨーロッパ以上にシビアな査定が下される。選手たちはそれぞれ、身体能力はもちろん、個人の技術、戦術、ゴールなどの結果に対して厳しい評価を受け、ダメ出しされれば、即プレーする場所を失ってしまう。蒔田が語る。

「(ブラジルでは)予想もしていない角度からタックルが飛んできたりして、日々日本の常識では考えられないようなプレーの連続を味わっています。その中で学んだのは、何よりプロ意識の大切さと、目に見える結果を残すことの重要性です。3部や4部のチームでも、結果を残した選手は、すぐにトップレベルのクラブに引き抜かれる可能性がある。僕は、日本でもブラジルでも街クラブからスタートした“雑草”選手ですが、そんなブラジルのシステムを肌で感じてきているからこそ、『結果を残して、必ず這い上がってやる!』という強い意志を持つことができました」

 蒔田のプレーの特長は、圧倒的なスピードと、左右両足でほぼ遜色なく巧みにボールを扱えることだ。中盤の左サイドを主戦場とし、タテに鋭い突破を見せるとともに、時にはカットインから強烈なシュートを放って相手ゴールを脅かす。

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