やっとW杯予選初勝利のアルゼンチン。逆境で反骨精神に火がつく

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 W杯準優勝国ながら南米予選で苦戦を続けるアルゼンチンが、4試合目にしてやっと初白星を挙げた。ベストには程遠いメンバーでアウェーのコロンビア戦に挑み、19分にビグリアが決めた1点を守り切った。

コロンビア戦で先制ゴールを決めたビグリア(右)と、アシストのラベッシコロンビア戦で先制ゴールを決めたビグリア(右)と、アシストのラベッシ 悪いことは重なるもので、メッシ、アグエロら主力選手5名を欠く中、13日に行なわれた前節のブラジル戦で右SBのロンカグリアが警告を受け、累積でコロンビア戦は出場停止に。彼は負傷欠場しているサバレタのサブ、つまり2番手の選手だった。この試合には3番手のメルカードが先発したが、試合中に頭部打撲で病院へ搬送され、4番手のペルッシまで駆り出された。

 会場であるバランキージャは猛暑で知られ、コンディション管理が重要な課題だったにもかかわらず、ブラジル戦が豪雨で1日順延となったため、暑さ対策と休養に当てる時間が短くなるというハンデも負った。

 しかし、この不利な状況が選手の反骨精神に火をつけた。さらに、高まるマルティーノ監督への批判が、「俺たちがマルティーノを支える時だ」(ビグリア)との思いとなってチームが結束した。決勝ゴールは、まさにそうした気迫によって生まれたものだった。19分、中盤深い位置でビグリアがボールを奪い、ドリブルでハーフラインを越えてパス。これでカウンターのお膳立てが整った。本来、彼の仕事はここまで。代表歴37試合で無得点なのだ。

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