記者が体験。パリ同時多発テロのスタジアムで何が起きていたのか
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】スタジアム・テロの現場(前編)
僕はこの原稿を、11月17日に予定されていたドイツ─オランダ戦がスタジアムへのテロを恐れて中止になった直後に書いている。僕たちはスタジアムを狙ったテロの新たな時代にいる。だとすれば僕は、その時代の始まりを4日前のパリで目撃した。
スタッド・ドゥ・フランスのピッチに避難する観客たちphoto by picture alliance/AFLO 僕はフランス─ドイツ戦を見るために、ごく普通の金曜の夜(だと思っていた)に家を出た。僕はパリに住んでいて、スタッド・ドゥ・フランスにはよく行く。けれどもこの夜は、試合が始まって20分過ぎたころに爆発音が聞こえた。スタジアムのすぐ外から聞こえているようだった。
今になってみれば、あれがパリ同時多発テロののろしだったことがわかる。だが多くの観客は、爆発音に歓声をあげた。フランス代表の試合でときおり聞こえる爆竹か何かだと思ったのだ。僕は爆竹にしては音が大きすぎると思った。それでも試合は何ごともなく進んでいた。僕は記者席からツイッターで、フットボールについてはその日最後のものとなるつぶやきを発信していた。
Simon Kuper @KuperSimon
ポール・ボグバ。すばらしいフットボール選手だが、唯一欠けているのは判断力だ(ピッチの中ではという話)#FRAGER(「FRAGER」はフランス〔FRA〕─ドイツ〔GER〕戦を意味するハッシュタグ)
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