117位から8位。ユーロ初出場ウェールズが急成長した理由 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 しかし今回の予選では、これまでの苦戦が嘘のように安定飛行を続けた。ベルギーとボスニア・ヘルツェゴビナの強豪が同居する難しいグループに入ったものの、残り2試合の段階で5勝3分の無敗でグループ首位に立ち、最終節を待たずして本大会出場を決めたのである。

 しかも、快進撃を続けたおかげで、今年9月にはFIFAランクで史上最高位となる9位に浮上(現在は8位)。一方のイングランドは10位に転落し、1992年にFIFAがランキングシステムを導入して以来、初めて「サッカーの母国」を順位で上回った。約4年前の2011年1月には、117位まで落ち込んでいただけに、彼らの成長は目を見張るものがある。

 そんなウェールズの成功の理由は、いったいどこにあるのか──。功労者をひとり挙げるとすれば、間違いなくベイルである。3−5−1−1システムのトップ下に入り、シュート、ドリブル突破、スルーパスと、「仕掛けの局面」で全権を託された。実際、これまでに代表戦でベイルがゴールを決めた15試合のうち、ウェールズが勝利した試合は「11」。7割強の勝率を誇るだけに、彼の出来がウェールズのバロメーターにもなっている。コールマン監督は語る。

「ガレス(ベイル)は、世界最高峰の選手。何もない状況からゴールを奪い、ゼロの状況からゴールを作り出す。あれほどの才能があれば、彼のパフォーマンスが敵の脅威に直結する」

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