バイエルンに完敗。武藤嘉紀がこの一戦で手にしたもの

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 ブンデスリーガ第7節、マインツ対バイエルン。バイエルンがよほどの不調に見舞われていたり、シーズン終盤の消化試合でなければ、結果の予想は難しくない試合だ。しかもマインツは中2日で、バイエルンは中3日。3-0でバイエルンの勝利というのはなんの驚きもない結果だが、90分の中にストーリーがなかったわけではない。

 前半、善戦したのはマインツだった。内から外から、遠目から、至近距離から、あらゆるところから縦横無尽に攻めてくるバイエルンに対し、高い集中で守り切った。1トップの武藤嘉紀の追い込みに始まり、最終ラインGKまで、連係は徹底していた。

バイエルン戦でティアゴと競り合う武藤嘉紀(マインツ)バイエルン戦でティアゴと競り合う武藤嘉紀(マインツ) 20分にはバイエルンのミュラーがPKを失敗。するとマインツは27分、前半最大のチャンスを迎えた。左サイドをデブラシスが突破、グラウンダーでゴール前に入れたパスは相手ディフェンスに当たる。こぼれ球に反応した武藤はワンタッチで密集から抜け出しシュート。「狙いすぎた」というシュートは枠の左にそれた。

 両チームの違いがはっきり出たのは0-0で迎えたハーフタイムだった。前半からずっと、グアルディオラは感情的に怒鳴り続けているように見えた。ハーフタイムは選手というより指揮官の頭を冷やすためにあるのではないか、と言いたくなるような怒りっぷりだった。

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