武藤嘉紀のゴールはマインツ指揮官の「理解」から生まれた (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 プレシーズンから主に主力組でプレーしていたため、開幕戦でスタメンを外れたのは少々意外だったが、2節、3節と連続で先発。早い時期にきっちり結果を出したのは、本人の力はもちろんだが、周囲、特にシュミット監督からの理解が大きな要因だろう。

 シュミットはかなり珍しいタイプの監督で、我々から見れば好感度が高く、応援したくなるような指揮官だ。例えば日本の報道陣に囲まれ、武藤に関してあれこれ質問されても嫌がることなく、むしろ武藤本人よりも饒舌に、丁寧に状況を説明してくれる。

 岡崎慎司との違いについて、具体的に「走りのスピードが違うことからプレーエリアが変わってくる」と解説してくれたことがあったが、選手個々の比較をここまではっきり説明する指揮官はまれだ。しかも2人の良さを比較するのだから、どちらかが傷つくこともない。

 この日は「岡崎の穴を武藤が埋めることができるのでは?」という質問に、笑いをまじえながら正面から答えていた。

「走力、スピード、運動量(=走行距離)、相手DFへのプレス、ファーストディフェンダーとしての相手陣内での動き。これらを武藤は非常に、非常にうまくやっている。これで彼が今季13ゴール(岡崎の昨季の得点数)を決めたらもう......(一同笑)。いや、冗談だ。でもヨシを獲得したことは当たりだったと思う」

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