ドイツ杯決勝で完敗。現実を突きつけられた香川真司 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

「良い距離感と良い連係で生まれたゴール」と、香川は振り返った。

 素っ気ない言葉ではある。だが今季の香川が周囲とのスピード感の違いに大いに苦しんだことを考えると、意義深いゴールだった。オーバメヤン、ロイス、ミキタリアンの3人は、スプリントやドリブルのスピードが特別に速い。それがチームのストロングポイントになる一方で、単調な攻撃になりがちという側面も持っていた。

 特に快足というわけではない香川が、彼らのスピードをどう生かし、逆に彼らにどう生かされるかという点で、フィットに時間がかかった。先週のリーグ戦最終節ブレーメン戦に続き、生かし生かされる感覚をようやくつかんだようだ。

 だがドルトムントはその17分後に追いつかれると、前半のうちに3失点をくらう。1点目はフリーキックのこぼれ球をつめられ、2点目はFWが落としたボールを2列目でフリーになったMFデブライネにミドルシュートを決められる。3点目は距離の長いワンツーで抜け出したFWドストが、2列目のペリシッチからのクロスを決めたもの。ミスとまでは言えないが、守備の甘さは最後まで変わらなかった。

「相手の個の力というか、シュートの上手さ、勢いというか......。今年のシーズンを表しているんじゃないかと思います」

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