CLダービーはドロー。レアルを苦しめるシメオネの信念 (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 だが、シメオネの信念、哲学が浸透した今のアトレティコは、試合の中で修正を行なうことができるまでメンタル的にも成熟したチームへと成長している。その証明と言えるのが、この日の後半での巻き返しだ。

 前半はレアル・マドリードの前に思うようなプレイができずにいたアトレティコ。シメオネ自身は「別に普通の話をしただけだ」と答えていたが、ハーフタイムを終えた後半、アトレティコはさらに激しくプレスをかけたプレイを見せ、アウェーチームに絶対的な主導権を渡さなかった。

「今日の試合、チームのリアクションに満足している。他のチームなら、前半にあれだけのプレイを相手にされたら飲み込まれてしまうだろう。だがチームはしっかりと姿勢を変えた戦いをしてくれた」と、シメオネは選手たちを称えた。

 きっとこのアルゼンチン人監督が楽観的な言葉を口にすることはないだろう。だからこそあえて言っておきたい。サンティアゴ・ベルナベウでの第2戦。難しい試合になることは間違いないが、シメオネのもとで勝利への信念を叩き込まれた堅固な守備とセットプレイを武器にするアトレティコが、昨年5月、リスボンでのCL決勝(延長の末、4-1でレアルが勝利)の雪辱を果たす可能性は十分にあり得る、と。

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