元日本代表監督候補、名将ビエルサはやっぱりマルセイユを変えた! (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Getty Images

 今回のダービーでビエルサが選んだシステムは「4-2-3-1」。過去、アルゼンチン代表やチリ代表で強烈なインパクトを放った「3-3-3-1」の印象が強いビエルサだが、アスレティック・ビルバオのころと同様、マルセイユでもふたつのシステムを併用している。

 相手が2トップなら「3-3-3-1」、1トップなら「4-2-3-1」。このふたつのシステムを使い分けながらチーム作りを行なっている。イブラヒモビッチが1トップを張るPSG戦では、「4-2-3-1」を採用していた。

 また、ゾーンではなく「インディヴィジュアル・マーキング」、つまり欧州では珍しくなった「マンマーク」をベースに守備をすることも、ビエルサのスタイルの特殊な点だ。「4-3-3」のPSGの中盤は、抜群の流動性を誇るチアゴ・モッタ(イタリア代表)、ヴェラッティ(イタリア代表)、マテュイディ(フランス代表)から成る欧州屈指のトリオ。「パリはポゼッションすることでゲームを支配する」とビエルサが分析するとおり、このトリオをいかに分断できるかがポイントだった。

 序盤に中盤でのマークのずれが生じたマルセイユだったが、修正が行なわれた後は、PSGのポゼッションを破壊する局面が度々あった。その象徴的なシーンが、1-1で迎えた前半43分のマルセイユのゴールである。「ビエルサ・サッカー」の神髄を見るかのような得点だった。

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