バイエルンにドロー。グアルディオラを笑わせた内田篤人 (2ページ目)
振り返った内田はとても嬉しそうだった。
記者席がちょうどバイエルンベンチの真上にあったため、そのシーンをつぶさに見ることができた。他の日本人選手にはちょっと考えられない余裕と図太さ、そして内田が自ら認めたユーモアの精神に遭遇した、珍しい光景だった。
すっかりシャルケでの、さらにはブンデスリーガでの立ち位置を確保した感のある内田。しかし、だからこそシャルケの現状には不満もある。この日は10人になったバイエルンを相手に勝ちきれなかった。
「1点は取られると思っていたけどね。だって(相手が)10人になっても俺らはボールを回されるし、ゴールの形、シュートまでもって行く形がキレイだもん。すごいなと思う。人数が足りていても、やっぱり守れないと思うもんね」
早い時間帯に数的優位になりながら、確かに決してラクな試合にはならなかった。だからなのだろうか、結果的に1−1の引き分けには、喜びや安堵の雰囲気が見られた。選手が揃ってシャルケサポーターに挨拶に行く際も、負けたときのものではなく、勝ったときの雰囲気に近かった。内田にとってはそれが不満だった。
「俺、思うんだけど、相手が10人でも引き分けでよしと思っていたら、ずーっとバイエルンには勝てない気がするんだよね。悔しくて、勝たなきゃと思うようになっていかないと、この先も勝てないと思う。バイエルンはいいチームだし強いけど、そこに俺ら、食い込もうよって。ヨーロッパリーグを目指すチーム(リーグ中位という意味)じゃないしね」
今季の序盤、ホームでバイエルンに1-1と引き分けた際も、内田は話していた。
「これがドルトムントだったら、(バイエルン相手の引き分けを)悔しがるんだろうな......」
実際には今、「バイエルンを倒す」と現実味をもって語ることはなかなか難しい。チャンピオンズリーグ常連のシャルケでさえそうなのだ。そんな中で内田は、ドローを悪くない結果と捉える雰囲気に、はっきりと違和感を覚えていた。
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