欧州注目のクラブ。南野拓実がザルツブルクを選んだ理由

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei
  • photo by AFLO

 南野拓実のレッドブル・ザルツブルクへの入団が発表されたのは1月7日のこと。将来を嘱望される注目の若手FWが新たな成長の場として選んだのは、近年急激な成長を遂げているオーストリアの強豪だった。

ドーハで行なわれた練習試合に出場した南野拓実(ザルツブルク)ドーハで行なわれた練習試合に出場した南野拓実(ザルツブルク) 今やオーストリアを代表するクラブとなったザルツブルクだが、リーグ戦初優勝は94年で、国内リーグ優勝7回はオーストリアで5番手にすぎない。設立は1933年とその歴史は長いものの、クラブが1部リーグで戦うようになったのは戦後になってからのことだ。

 だが05年にザルツブルク近郊に本社を構える飲料メーカー「レッドブル」がクラブを買収すると急速に力をつけ、05~06シーズン以降は9年間で5度のリーグ優勝と4度の準優勝を果たしている。昨季はヨーロッパ・リーグでベスト16に進出。今季も同大会でグループリーグを1位で突破するなど、欧州でも徐々に存在感を増しつつある。昨年1月には、練習試合ではあるが世界王者になったばかりのバイエルン・ミュンヘンに3-0で完勝し多くの人々を驚かせた。

「ヨーロッパでやりたいという目標があった」という南野だが、ザルツブルクを選んだのは一体なぜなのだろうか。この問いかけに対して南野は「環境」と「アグレッシブなスタイル」という2つの理由を挙げた。

 ザルツブルクについて「トータルですべて整っている」という印象を受けたという南野だが、資金面でレッドブル社の恩恵を受けるザルツブルクのトレーニング環境は非常に充実している。トップチームが使用する練習場は07年にオープン。クラブハウスには室内練習スペースも備え付けられており、オーストリアの厳しい冬でもコンディションを保つことができるようになっている。さらに昨年9月には室内練習場を含め7つのピッチを備えた下部組織のトレーニング施設が完成。これらのトレーニング環境がザルツブルクの急成長を後押ししている。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る