香川真司の正念場。アジア杯よりドルトムント合宿を (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 後半に入ると、立ち上がりからシュートを放ったり、先制点の前の場面でボールに絡んだりもしたから、映像でハイライトを見るとそれなりにチャンスに絡んだようにも見えるかもしれない。だが、状況は厳しい。この日の試合後、香川は心情をストレートに吐露した。

「なかなか結果が出てない中で、こうやって言うのは難しいことですけど、ただやはり1、2年目をあらためて考えると、全てがうまくいっていたと感じる。自分がそのリズムに乗っていたのは確かだし、もちろん努力した結果だとは思いますけど。今、自分に結果が出ない中で、マンチェスターにいたときもそうですけど、どうやったら結果を残せるかを日々、考えます。ただ、メンタルの波があったりして、本当に厳しい状況ですけど、これを乗り越えて、自分たちの確立したサッカー(が表現できるようになる)だったり、個人的にも結果が出だしたときには、あらためて、成長したと言えるんじゃないかなと思う」

 以前ドルトムントに所属した3シーズン前までとは状況が違う。マンU 時代とも違う。今は出場機会そのものは与えられているが、結果だけが出ない。

「(自分が)こんなに厳しい状況になるとはちょっと想像してなかったんで。ただそれは本当に自分が試されてるということですし、ここで投げ出したら僕は下まで落ちる一方だと思っているので。しっかりと結果を残していけるように頑張りたいです」

 CLを首位突破したことにフォーカスしても良いし、試合そのものだけを語っても良い中で、香川から、どうしても苦しさが口をついて出てくるというような印象を受けた。おそらくは結果が出ないだけでなく、ボールタッチのひとつひとつまで「ここまで厳しいとは想像していなかった」、つまり、自分が思うよりもできていないのだろう。

「厳しさを感じるのは自分自身についてで、チームは能力の高い選手が集まっていると思う。こういうビッグネームがいるなかで、まとまる力が試されていると思う。そういう意味ではお互いリスペクトを持つことも大事ですし、逆に自分が決めるという強い気持ちを持つことも大事です。その具合が大事だと思う」

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