ドイツ日本人所属チーム最上位。清武弘嗣はなぜ復活したか (3ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei
  • photo by Getty Images

 そして何より、その2点目は清武自身の飛び出しから生まれている。前線で1トップのホセルーがプレスを掛けてボールを奪うと、トップ下の清武が誰よりも速くスペースに飛び出し、冷静にDFをかわして最後は左足でネットを揺らしたものだ。今季から1トップを務めるFWのホセルーは、サイドに開いたり、低い位置まで下りてきたりすることが少なくない。そこで空いたスペースに清武が飛び出せばチャンスに繋がる。

 そういった場面が見られたのはこの試合が初めてのことではない。フランクフルト戦(11月1日)でも同じようなシーンから決定機を迎えながらモノにすることができなかった。「今回はうまく切り返して、同じシーンで決められたのでよかった」と、そのときの反省を活かした形だ。

 確実に調子は上向いている清武だが、それでもそのポジションは安泰とも言えない。2列目ではU-21ドイツ代表のビッテンコートとブリアントも好調を維持しており、チームの中心であるシュティンドルも戦列に復帰した。次節も誰が先発から外れてもおかしくない状況は続く。それだけにこのタイミングで結果を残すことができたのは、清武にとって大きなアドバンテージになったはずだ。

 ケガ人が出ていたとはいえ、コルクート監督が結果の出ない清武を先発起用し続けたことは、チームの攻撃陣にとってプラスになった。清武の「やんちゃさ」がハノーファー攻撃陣に勢いをもたらしつつあるのは間違いない。


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