名将マルセロ・ビエルサが「マルセイユ革命」を起こす! (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 さらに、20歳のDFバンジャマン・メンディを筆頭に、MFマリオ・レミナ(21歳)、FWミヒー・バチュアイ(21歳)、DFステファン・スパラニャ(19歳)といった若手も、ビエルサは積極的に起用しているため、試合を重ねるごとに戦力となり始めている。選手層の薄さという苦しい台所事情は、ある意味、ここまでは吉と出ていると言っていいだろう。

 このような好循環で、破竹の8連勝で首位を独走していた中で迎えたのが、第11節の強豪・リヨン戦だった。すると、なんとビエルサはここまで勝利を重ねてきた4-2-3-1ではなく、3-3-3-1を採用。相手の2トップに対しては3バックで対抗するという自論から、これまで機能しなかったシステムを復活させたのである。

 結局、それこそ一瞬たりとも目を離せないスペクタクルな接戦を1-0で制したのはリヨンとなったわけだが、驚くべきは、連勝で自信をつけたマルセイユが見せたサッカーだった。開幕直後のように守備が破たんする場面が激減したばかりか、攻守の切り替えの速さ、プレッシング、選手の距離感などが目を見張るほど向上していたのである。ボール支配率だけでなく、チャンスの数でも確実にリヨンを上回っていた。

 この試合で連勝がストップしたマルセイユだったが、続く第12節・ランス戦では、リヨン戦で手応えをつかんだ3-3-3-1で勝利し、首位の座をキープ。そして、いよいよ今週末の11月9日(日本時間11月10日早朝)には、2位パリ・サンジェルマンとの大一番、「フランスダービー」を迎えることになる。

 もちろん、戦力面を見ると両チームの実力差は大きいと言わざるを得ないし、戦前の予想も圧倒的にパリ・サンジェルマンに軍配が上がっている。しかし、このアウェーでのダービーマッチでビエルサ率いるマルセイユがどんな戦いを見せてくれるのかは、マルセイエーズのみならず、多くのサッカーファンが関心を寄せていることだろう。少なくとも、今のマルセイユが昨シーズンのような、「引きこもったサッカー」で王者に対抗するようなことはないはずだ。

 いずれにせよ、これがビエルサ革命の現在地を示す試合となることは間違いない。

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