2014.11.07

名将マルセロ・ビエルサが「マルセイユ革命」を起こす!

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 目下2連覇中のパリ・サンジェルマンの1強時代が続くと思われていたフランスリーグ「リーグ・アン」に、今シーズンはちょっとした地殻変動が起きている。まだシーズン序盤とはいえ、現在リーグトップを快走して主役の座に躍り出ているのは、パリ・サンジェルマンの永遠のライバル――南仏の名門・マルセイユなのだ。

現在首位のマルセイユを率いる名将マルセロ・ビエルサ 第12節を終えた段階で、2位パリ・サンジェルマンとの勝ち点差は4ポイント。昨シーズンは6位に低迷し、ヨーロッパリーグの出場権(※)さえ逃したマルセイユが、無敵のディフェンディングチャンピオンの上に立つとは、いったい何が起こっているのか?

※リーグ・アンの年間順位1位~3位のチームにチャンピオンズリーグ、4位のチーム・フランスカップ優勝チーム・リーグカップ優勝チームにヨーロッパリーグ出場権が与えられる。

 その旋風を巻き起こしている張本人こそ、今シーズンからチームを率いるアルゼンチンの名将、マルセロ・ビエルサ監督である。

 ご存知のとおり、ビエルサといえば、かつてアルゼンチン代表やチリ代表を指揮して名声を高めた他、2011-2012シーズンから率いたアスレティック・ビルバオ(スペイン)でもヨーロッパリーグ決勝に導くなど、数々の成功と伝説を残している屈指の戦術家として知られている。そのビエルサが、また新たな足跡を残すべく、早くもマルセイエーズ(マルセイユの人)を魅了。フランス国内でスポットライトを浴びているのだ。

 もっとも、ビエルサの「マルセイユ革命」は、順風満帆な船出だったわけではない。

 そもそも昨シーズンのマルセイユは、手堅いサッカーで結果を残してきたエリー・ボー監督が成績不振によりシーズン途中で解任され、暫定的に後を引き継いだスポーツ・ディレクターのジョゼ・アニゴが結局最後まで指揮を執り続けるなど、チームは行く先を見失っていた。しかも、国内随一の熱狂度を誇る本拠地スタッド・ヴェロドロームも改修工事中だったため、観客動員も減少。こうなると、さすがに国内屈指のビッグクラブも財務状況が悪化し、長く大黒柱として活躍していたフランス代表MFマシュー・ヴァルブエナ(現ディナモ・モスクワ)を放出し、今夏の補強で即戦力として期待できたのは、レンヌから獲得したMFロマン・アレッサンドリーニただひとり、という状況で新シーズンを迎えざるを得なかった。