ユーベ戦敗北も、本田圭佑の存在はポジティブだった (2ページ目)

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 そのため本田圭佑とエル・シャーラウィーの2人の両サイドも、攻撃より守備に駆り出されることのほうが多かった。そして彼らが攻められないことが、結局は試合の結果に大きく響いてしまった。ミランは自分たちのプレイを作り上げようと懸命に頑張っていたが、攻撃はユベントスのDFにことごとく止められてしまっていた。

 ただ、ミランは現段階ではまだビッグチームとしてのプレイの仕方を模索中である。この敗戦は長い目で見れば、インザーギが今後フォーメーションを作り上げるためにプラスとなると私は信じる。

 この日の試合でポジティブだったことの一つが本田の頑張りだ。本田はミランの中で一番危険な存在だった。ヘディングからのシュートは無情にもブッフォンに止められたが、右サイドでのアバーテとのコンビネーションはよく機能していた。ただ先程も述べたようにユベントスの方が一枚上で、ユベントスの一突きにやられてしまったのだ。

 守備面における本田の成長ぶりは顕著だった。本田は今やインザーギ・ミランにはなくてはならない存在だ。才能だけでなく、彼の陰ひなたのない頑張りよう、自己犠牲の精神に、インザーギは全幅の信頼を置いている。彼はチームが困難な状態にある時ほど大きく貢献してくれる、そんな選手である。

 ユベントスに敗れたとはいえ、ミラニスタたちは最後、選手たちを拍手でロッカールームへと送った。ゴール裏のサポーターたちの"怒り"は、選手たちも持っている。目指すものは皆同じである。力を出し惜しみしないピッチでの選手たちの姿から、サポーターたちもそれを感じたのだろう。そしてそれこそがインザーギの望むミランのあり方である。

 シーズン最初のビッグマッチで負けたことは残念であるが、それをいつまでも悔やんでいる暇などない。23日にはアウェーでのエンポリ戦が待っており、日曜日にはまたもやアウェーでチェゼーナ戦だ。どちらも今シーズンセリエAに昇格してきたばかりのチームだが、決して侮ってはいけない。セリエAには楽勝の試合などありはしないのだ。

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