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今夏の移籍市場の勝者はリバプール? (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 コスタリカのケイロル・ナバスは、今回のワールドカップに出場したGKのなかで最高のセーブ率をあげた。だが、それより重要な事実がある。データ解析会社のオプタによると、昨季スペインのレバンテでプレイしていたナバスのセーブ率は、欧州5大リーグのGKのなかで3位だった。ブラジル大会後に彼を獲得したレアル・マドリードはまちがっていなかったのだろう。

 けれどもワールドカップ後の移籍市場で最も賢いのは、他のクラブの逆を行くことだ。大会後に価格が下がった選手を買うのだ。

 チェルシーは今大会でスペインを失望させたディエゴ・コスタを、アトレティコ・マドリードから3200万ポンド(約55億円)で獲得した。バルセロナは、かみつき癖があることを世界に思い出させて4カ月間の活動停止処分を受けたルイス・スアレスを、6500万ポンド(約111億円)という「安値」でリバプールから獲得している。

 これらのクラブは、世界的な投資家ウォーレン・バフェットの教えを守っている。「他人が貪欲なときには慎重に、他人が慎重なときには貪欲になれ」

 そうはいっても、今回のワールドカップで需要がゼロになりかねなかった選手もいた。「この大会では、イタリアだけでなく、私も敗者だ」と、ACミランのオーナーで元イタリア首相のシルビオ・ベルルスコーニは言った。「(マリオ・)バロテッリをイングランドのクラブに高く売るつもりだったんだが、このワールドカップの後に誰が奴を欲しがるかね?」

 そのバロテッリをしっかり獲得したリバプール(移籍金は1600万ポンド=約27億円と言われている)こそ、この移籍市場の「勝ち組」なのかもしれない。
From The Financial Times © The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved.

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