2014.09.05

今夏の移籍市場の勝者はリバプール?

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ワールドカップ後の移籍市場(後編)

 ワールドカップは、選手が最高でどこまでやれるかを示す場にはなるのかもしれない。だが選手が潜在的に持つ最高の力がわかっても、そこに大きな意味はない。大切なのは、1シーズンを通じて毎週の試合で見せる普通のパフォーマンスのほうだからだ。期間が短く、一発勝負の要素が強い大会では、そこまではわからない。

 ガーナのアサモア・ギャンが2010年のワールドカップ南アフリカ大会で活躍した後、サンダーランドはクラブ史上最高額となる1300万ポンド(当時のレートで約17億5000万円)の移籍金で彼を獲得した。しかし1年後には、UAE(アラブ首長国連邦)のアル・アインに放出した。これも、ワールドカップでの活躍が後に失望を招いた例だ。

リバプールに移籍したイタリア代表バロテッリ(中央)photo by Getty Images クラブにとっては、有名選手を買うこと自体が重要なケースもある。多くの移籍は、ファンやスポンサー、地元メディアに対するマーケティング面のサービスだ。ワールドカップで活躍したスター選手を買えば、夏のオフシーズンにもクラブは顧客に満足してもらえる。期待を高め、わくわくさせられる。その感覚は、実際に試合に勝つのと同じくらい楽しいものかもしれない。

 一方で、ワールドカップでのパフォーマンスが過小評価される選手も確実にいる。とくにGKだ(多くの監督がGKの評価に苦労している)。