開幕直前、スキラッチが語るセリエAとカルチョの現状 (3ページ目)

  • 利根川晶子●構成 text by Tonegawa Akiko

 ところで、間もなくセリエAが開幕するが、まず気になるのが、イタリアの顔というべきミランとユベントスの2チームの監督が変わったことだ。しかし私はどちらもうまくいくのではと思っている。

 インザーギはトップチームを率いるのは初めてだが、プリマベーラではかなりいい成績を残している。昨シーズン振るわなかったミランを立て直すというのは難しい課題だが、彼ならきっとできると思う。何よりミランの選手だっただけに、バラバラのロッカールームをまとめる方法を知っているはずだ。
 
 かたやアッレグリはすでにビッグチームを率いた経験も優勝した経験もある。ユベントスのサポーターは、少し前までミランを率いていたアッレグリをあまり快くは思っていないようだが、結果を出せばすぐにそれも変わるだろう。選手も昨シーズンからそれほど変わってないし、私は4連覇もあり得ると思う。ユベントスはユベントスなのだから。

 ただし決して油断はできない。昨シーズン好調だったローマはかなりいい補強をしているし、ナポリも好調の去年のチームを温存している。フィオレンティーナもいいチームだ。インテルはチャンピオンズリーグがないだけにスクデット争いに集中できる。とにかく2014~15は実力が肉薄した面白いシーズンとなるだろう。昨年のようなユベントスのひとり勝ちになることはまずないはずである。

 イタリアは今、良い若手が伸びてきている。しかし問題なのはその選手たちが活躍できる場所がないということである。外国人選手があまりにも多すぎるからだ。そして頭角を現わすやすぐに外国のチームがさらっていってしまう。MFベラッティ(PSG)だけでなく、新シーズンからはインモービレも国外に行ってしまう。これは代表チームにとってもいいことではない。  

 私が現役だった時代は1チームに外国人3人までという制限があった。外国人は厳選された選手たちで観客を楽しませるための存在だった。私は常々こうした制限を再び設けるべきと主張してきている。そうでなければ若い選手たちにチャンスはなく成長しない。ビッグチームは外国人選手ばかりという状況は変えるべきである。

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