プレミア開幕。今季の香川真司に居場所はあるか? (3ページ目)

  • 斎藤史隆●文 text by Saito Fumitaka photo by Getty Images

 だが、指揮官は早い段階から、「チームには10番の選手が多すぎる」と分析している。何らかの理由でマタが離脱したとしても、自動的にトップ下の役割が香川に回ってくるとは言い切れない。19歳のアドナン・ヤヌザイ(ベルギー代表)、場合によってはルーニーをトップ下に下げる手もある。

 そこで、香川に与えられたもうひとつのポジションは「ボランチ」だ。本人は「守備的MFでプレイするのは7~8年ぶりだが、大切なのはどのポジションであろうが、自分のベストを尽くすこと」と語っている。ただ、そのボランチにも新加入のアンデル・エレーラ(前アスレチック・ビルバオ/スペイン代表)をはじめ、マイケル・キャリック(イングランド代表)や副キャプテンのダレン・フレッチャー(スコットランド代表)など、本職の選手がそろう。序列という点においては、トップ下よりも低い4~5番手という扱いになるのではないか。昨季、香川に用意されていたのは、トップ下と中盤の左サイド。フォーメーション変更の結果、今季与えられるポジションはトップ下とボランチになったが、いずれにしても常時試合に出場するのは難しそうだ。

 そういった背景があったことで、去就に関しての報道も加熱する結果となった。アメリカ遠征後、ファン・ハール監督が一部の選手に戦力外通告を行なうと話した際には放出という見方が多かったが、その後はトーンダウンしている。移籍先として、スペインのアトレティコやトルコのベシクタシュなどが挙がっているが、今は香川の放出と残留でチーム内も錯綜しているのが現状だ。よって移籍期間が終了する8月末までは、さまざまな憶測が流れることだろう。

 しかし、ユナイテッドと香川との契約は2年間を残すだけ。来夏になればチームが取得する移籍金は激減するだけに、タイミングとしては「売り時」ではある。移籍話も今月だけの話題に留まらない可能性もあるだろう。今季のユナイテッドは欧州カップ戦に出場していない。来年1月の移籍解禁期間中、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出したチームが獲得に動くことも大いにある。

 だが、当の香川がユナイテッドでの成功を望んでいることは間違いない。限られた出場時間でいかに結果を残すことができるのか、すべては本人次第だ。プレミアリーグ開幕――優勝争い、ユナイテッドの復活、そして香川真司の動向……序盤から見るべきポイントは多い。

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