ヘルタ・ベルリン原口元気を後押しする指揮官と同僚 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 そのルフカイは2012~2013シーズンからヘルタ・ベルリンで指揮を執る。アウクスブルクを去った理由は、クラブ上層部との方向性の違いだと言われている。予算不足も限界だったのだろう。

 2部に落ちていたヘルタを1部に昇格させると、当時レバークーゼンでプレイしていた細貝を完全移籍で獲得。他のクラブからも話があった中でヘルタ移籍を決断した細貝は、その理由について、「何よりルフカイからの信頼を感じたからだ」と語っている。これは単なる人情話ではない。戦術の適合性と、その中でのプレイヤーと指揮官との信頼関係を含めた話のはずだ。

 また原口にとって、細貝と同僚になることがプラスに働くのは言わずもがなだ。細貝はルフカイからの信頼が厚いだけでなく、クラブスタッフや報道関係者からも高い評価を受けている。その激しく戦う姿勢と確かなボール奪取能力、そして周囲への影響力は、特に原口がチームに馴染むまでの間は大きな助けになるはずだ。

 細貝が加入した昇格初年度の2013~14シーズンは11位で終わっている。序盤戦は上位争いを演じ、欧州カップ戦(ヨーロッパリーグ出場権は6位以上)に割り込む可能性もあっただけに、後半に調子を落としたのは残念だった。もうひとつの昇格チームであるブラウンシュバイクが18位でまたすぐに降格したのに比べれば上出来ではあるのだが。

 今季、原口はヘルタで4-2-3-1もしくは4-1-4-1の2列目でプレイすることになるだろう。8月8日に行なわれた練習試合のカスムパシャ(トルコ)戦では先発出場を果たし、前半30分に先制ゴールをあげている。

 昨季16ゴールをあげ、ヘルタの顔だったコロンビア代表のFWアドリアン・ラモスはドルトムントに引き抜かれたが、2列目のメンバーはほぼ変更なし。原口がポジションを争うのは、ラモスに次いでチーム2位の9得点をあげたサミ・アラグイになるだろう。ドリブルとシュートの技術では原口は劣っていないはず。得点を重ねることで、自信と信頼を勝ち得ていく必要がある。

 選手にとって未知のスタートとなる海外移籍。だが原口の周囲には極めつけの好人物がおり、その点で不安要素は少ない。結果を出す環境は整っている。


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