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12年間、ドイツとブラジルはどこで差がついたのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 ネイマールを負傷で、チアゴ・シウバを累積警告による出場停止でそれぞれ欠き、ブラジルは戦力的な不安があったとはいえ、それにしても、まさかの結末である。

「力を出せば勝てるとは思っていた。だが、こんな結果になるとは予想していなかった」

 ドイツのレーヴ監督でさえそう語ったほどだ。

 2002年のW杯日韓大会の決勝以来、ワールドカップでは2度目の対戦となったブラジルとドイツ。2-0で勝利したブラジルが5度目の世界制覇を成し遂げてから12年が経ち、互いの立場は大きく逆転したように見える。

 サッカーが技術的、戦術的に急激な進歩を見せるようになると、ブラジルは80年代以前のように、質量ともに圧倒的なタレント集団で相手をねじ伏せることはできなくなった。

 94年アメリカ大会にしても、02年日韓大会にしても、ブラジルは優勝こそしたものの、決まって「つまらないサッカーだった」と揶揄された。ブラジルでさえも勝つためには現実的なサッカー――ディフェンスをベースに戦い、前線のタレントで得点する――を選択せざるを得なかった結果である。

 とはいえ、言い換えれば、ブラジルが割り切って勝負に徹したときは強い。それもまた一面の真理だった。

 ブラジルを今大会の優勝候補に推す声が多かったのも、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督がかつての幻想にとらわれることなく、現実的な選択でチームづくりを進めてきたからに他ならない。

 だが、ブラジルが理想を捨て、割り切って勝負に徹しさえすれば優勝できる時代はもはや終わりを告げた。サッカー王国を取り残すように、世界は変貌を遂げていた。

 思えば02年日韓大会当時、ドイツは無骨でつまらないサッカーの象徴のような存在だった。

「ゲルマン魂」という言葉で表される精神力や肉体的な強さこそ際立っていたが、技術、戦術では他国に大きく後れをとっていた。ところが、今ではショートパスを主体に攻撃を組み立てながらも、スペインのようにそれ一辺倒になるのではなく、ピッチを広く使って人もボールもよく動くダイナミックな攻撃を展開するまでになっている。

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