日本のアニメで育った得点王候補、ハメス・ロドリゲス (3ページ目)
ブラジルW杯は、フットボール王国で世界一を決める大会だ。翼もブラジルを目指した者だが、22歳の若者は今、計り知れないカタルシスを得ていることだろう。ハメスが左足でボールを操るとき、スタジアムには興奮が匂い立つ。一瞬だが、時が止まったような錯覚を覚えるのだ。思い出したくもないが、日本がとどめを刺されたときもそうだった。
「後継者? もうひとりの私は必要ない。ハメスはハメス。彼は非常に強い意欲を持ってプレイできるし、技術も想像力も持っている。コロンビアの10番にふさわしい」
カルロス・バルデラマがそう説明しているように、スターとは誰かのコピーではない。ハメスは漫画から飛び出したような、とっておきのオリジナルである。
「歴史に残る選手だから、目に焼き付けておけよ」
同席になったコロンビア人が興奮気味に言っていたのを思い出す。忌々(いまいま)しくはある。しかし、そのプレイを見られたことは幸運だったかもしれない。
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