勝利至上主義のフランス。デシャンのサッカーはつまらない? (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 カギは、4-3-3の中盤の3人、ヨアン・キャバイェ、ブレーズ・マテュイディ、ポール・ポグバが握っている。特徴的なのは、3人の中で最も攻撃的で守備力に劣るキャバイェを中盤の底でプレイさせている点だ。それができるのも、キャバイェをカバーするマテュイディとポグバの運動量が異常に多く、攻守両面で貢献できる駒が2枚揃っているからだ。ちょうど、ローラン・ブラン監督が率いるパリ・サンジェルマンの3MF、チアゴ・モッタ(中盤の底)、マテュイディ、マルコ・ヴェッラッティの構成とよく似ている。ご存知の通り、デシャンとブランはフランス代表としてワールドカップで優勝した当時のチームメイトだ。日ごろから密にコミュニケーションを取っているというから、さもありなん、である。

 ただし、監督としての色は大きく異なる。ロマンを追う理想主義者のブランに対して、デシャンはいつもリアリストだ。魅せるよりも、勝負にこだわる。手堅いサッカーが、監督デシャンの身上なのだ。現役時代のプレイスタイルのごとく、デシャンはそうやってタイトルを手にしてきた経験がある。

 準々決勝の対戦相手は、延長戦の末にアルジェリアとの一戦を制したドイツに決まった。フランスにとっては、今大会、初めて格上と対戦する試合だ。当然、デシャンがどのようなゲームプランを立てるかは想像に難くない。

 120分の死闘を覚悟して、「手堅いサッカー」で優勝候補ドイツに挑むことになるだろう。

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