急成長ベルギー2連勝。だが組織力欠如で今後に不安も

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 近年最も成長したチーム。ベルギーはコロンビアとともにそう評価されている。ブックメーカーの評価も高い。大会前には全体の5番手に推されていた。ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、スペイン。優勝候補と言われた4強の次に来る、ダークホース以上の存在だと見なされていた。

 だが第1戦のデキは良くなかった。アルジェリアに対して2-1。5番手として物足りない内容だった。初戦だから。相手がそれなりに強かったから。それが言い訳になるのか。22日、リオのマラカナンで行なわれたロシア戦は、ベルギーの今後を推し量る試合と言えた。

 スペインのグループリーグ敗退が決まったことで、4番手に昇格したと言えるのか。さらにイングランドが消えた。ウルグアイ、イタリアのいずれか一方も消えることになる。大会前、ベルギーのすぐ後ろにつけていた2チームのグループリーグ敗退が確実になった。ベルギーには大きなチャンスが巡ってきているのだが、チームの調子はどうも思わしくない。

ロシア戦でも存在感を発揮したアザール(中央/ベルギー)ロシア戦でも存在感を発揮したアザール(中央/ベルギー) ロシア戦。ベルギーは前半なかばにさしかかる頃から、試合を優位に進めた。スタメン全員が国内リーグでプレイするロシアに対し、ベルギーは外国のリーグでプレイする選手でスタメンをすべて固める。対照的な関係にある両者だが、選手の知名度という点で上回るのはベルギーだ。

 ロシアの選手がともすると画一的に映るのに対し、ベルギーは選手ひとりひとりがキャラ立ちしている。親近感を抱かせる選手が多いのだが、いかんせん連係が悪い。個人個人で戦っている感じなのだ。地味ながら的確なポジションワークで対抗するロシアは、時間の経過とともに挽回。前半終了間際にはこの日、最大のチャンスを迎えることになった。

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