W杯の行方を左右する!世界ナンバーワンGKは誰だ? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 レイナはバルセロナの下部組織出身。だからだろうか。とにかく「サッカーセンス」がいい。クライフ時代のバルサで活躍した、MFブスケツの父カルレスが似たタイプのGKだった。ゴールを離れ、11人目のフィールドプレイヤーとしてプレイするそれまでのGK像を覆す選手だった。

 レイナは、キャッチしてからフィードに至るまでの一連の動作に淀みがない。そればかりか、試合を読む力もある。それまでの流れに従うか。一呼吸置くか。リズムを調整する能力がある。カシージャスに代わって先発で出場しても何ら不安はない。スペインの攻撃が、より円滑になる可能性さえある。

 かつてのカシージャスと双璧の関係にあったブッフォンは、かれこれユベントスで12シーズン、プレイしている。レアル・マドリード一筋のカシージャスと似ているが、CLの終盤戦ではすっかり見かけない顔になっている。それはユベントスの不振によるものだが、W杯を、CLの組み替え戦と位置づければ、ブッフォンの存在感、相手に対する威圧感は、「泣く子も黙る」感じではなくなっている。前回、前々回より低下したと見ていい。

 反対に、ここに来て存在感を一気に上げているのは、CLのファイナリスト、クルトワ(ベルギー代表/アトレティコ・マドリード)だ。199センチの身長は、W杯に出場するGKの中で最も高い。クルトワの立ち姿とゴールマウスの関係は、アイスホッケーのGKとゴールマウスの関係を想起させる。それぐらい大きく感じる。

 だが、俊敏だ。ハイボールのみならず、長い身体を横方向に活かすセービングの技術も高い。放たれるシュートを長い腕と大きな手で、綺麗に掻き出すプレイこそが、彼の真骨頂になる。ベルギーの前評判を高くしている原因の一つと言える。弱冠22歳ながら、CLのファイナリストになったことで、経験不足を補うことも出来た。GKでは最も注目すべき存在だと言っていい。

 長身で俊敏。これはスイス代表のベナーリオ(194センチ・ボルフスブルク)にもあてはまる。思い出すのは前回南アフリカW杯。その初戦の対スペイン戦で彼は、的確なポジショニングから大きく横に伸びる力を活かし、好セーブを連発。優勝候補に1-0の勝利を収める立役者になった。

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