仏リーグ独走のPSG。フランス語に定着した「ズラタンする」 (2ページ目)
「ビッグクラブの間には、互いに良好な関係を維持しようという了解がある。関心を持った選手がいたら、クラブ同士で話をする。どんな形の仲介者も入れない。どこかのビッグクラブがわれわれの選手を買いたいと思ったら、このオフィスか(会長の)ナセル(・アル・ケライフィ)に電話して『この選手を売ってくれないか』と言ってくる。答えがノーだったら、そこで話は9割がた終わりだ。ビッグクラブの間では選手を盗み取るようなまねはしない。PSGもこのルールを尊重している」
アル・ケライフィ会長がつけ加える。「(レアル・マドリード会長の)フロレンティーノ・ペレスは私の親友だ。私はアーセナルとも親密な関係にある。もちろん嫉妬心のようなものを向けられていると感じることはあるが、それはどうでもいいことだ」
確かにPSGは反感を持たれている。UEFAの「ファイナンシャル・フェアプレイ」というルールでは、クラブは収入を超える金額を支出に回してはならない。バイエルンのカールハインツ・ルンメニゲ会長は「PSGがファイナンシャル・フェアプレイを守っているとは考えにくい」と語り、UEFAに調査を求めた。
PSGに対する批判についてアリ・ケライフィに尋ねると、彼はこう反論した。「彼らは自分のクラブの面倒を見るべきで、ほかのクラブのことに首を突っ込まなくていい。われわれの仕事は、ほかのクラブについてあれこれ言うことではない」
PSGは「ファイナンシャル・フェアプレイ」に従っていると主張する。監査法人のデロイトが毎年発表しているランキングによれば、PSGの昨シーズンの収入は3億9880万ユーロ(約558億円)で、ヨーロッパのクラブのなかで5位となっている。PSGの今シーズンの収入は5億ユーロ(約700億円)に迫ると予想される。昨シーズンのレアル・マドリードは、収入が5億1890万ユーロ(約727億円)とスポーツクラブの史上最高額だった。PSGの収入がこのまま増えれば、すぐに世界で最も豊かなクラブになるかもしれない。そうなったら、また大金を使う余裕も生まれてくる。
ルンメニゲは、PSGの昨年の収入の大半がカタールから来たものであることに注目している。スポンサーのひとつであるカタール観光庁だけでも、年間2億ユーロ(約280億円)を払っている。だがブランに言わせれば、この金はただでもらっているものではない。むしろ彼によれば、カタールはフットボールを通じて国の「ブランド」をつくろうとしている初めての国だ。イブラヒモビッチもこう語る。「いま僕らは、パリとフランスとカタールを象徴している」
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