絶好調のハーフナー・マイク。代表に呼ばれない今の心境は? (2ページ目)

  • 中田徹●文 text by Nakata Toru photo by AFLO

 たしかに今季の前半戦は、不運なシーンも多かった。バーやポストにシュートが嫌われる場面が多々あり、スライディングシュートを決めたのに、ゴール直前の相手の微妙なプレイがファウルを取られ、後にレフェリーから「笛を吹いてすまなかった」と謝られることもあった。だがやはり、思っていたよりゴール数が伸び悩んだのは、前半戦でイージーなシュートを外し続けたことが大きな要因だろう。無人のゴールに決めきれなかったシュートは、開幕戦のヘラクレス戦を皮切りに、9月1日のAZ戦、10月2日のADOデンハーグ戦、そして10月27日のフローニンゲン戦と、計4度もあった。

 その結果、ウインターブレイク後のフィテッセは、1勝3分け2敗と不振に陥り、優勝争いから脱落してしまった。そのすべての試合に先発したハーフナーは、いずれもノーゴール。チームが好調だったときは、「ハーフナーはアーリークロスを含め、どんなクロスに対してもゴールにすることができる力を持っている」と褒めていたテレビ解説者のアーノルド・ブルヒンク(元トゥウェンテFW)も、不調になると一転して、「ハーフナーはフットワークが悪く、ポジショニングも良くなく、味方を邪魔している場面がある」と酷評した。また、フィセッテの地元紙『デ・ヘルダーラント』も、「フィテッセにはストライカーがいない」と批判するなど、ハーフナーへの風当たりは次第に強くなっていった。

 しかし、フィテッセのペーター・ボス監督は、「私はマイクに満足している。彼のヘディングはオランダの中で一番。スペースがあれば、彼の技術は十分に生きる」と、ハーフナーへの信用を失わなかった。指揮官はチーム内のムードを変えるために他の選手を入れ替えながらも、ハーフナーをスタメンで起用し続けたのである。

 そんな監督の想いをようやく結果として恩返しできたのが、シーズン後半戦7試合目となるRKCワールワイク戦だ。1点のビハインドを背負う重苦しい展開の中、後半開始5分にハーフナーが同点ゴールを決めて、フィテッセの本拠地ヘルレドームを大いに沸かせたのである。そのプレイで流れは変わり、2分後にはMFバレリ・カザイシュヴィリ、さらに後半23分にもFWクリスティアン・アツが相次いでゴール。結果、3-1で逆転勝利を収めたのである。試合後、チームメイトのヤン=アリー・ファン・デル・ヘイデンは、「マイクのゴールで僕たちに圧し掛かっていたプレッシャーがほぐれた」とハーフナーの値千金のゴールに感謝し、その後、フィテッセは3連勝を挙げて再び優勝争いに舞い戻った。

 現在9ゴールという結果についてハーフナーは、「前半戦でもっとゴールを獲れていた。自分の中のイメージでは、現在17ゴールだ」と、反省に余念がない。ただ、最近結果を残しているだけに、日本代表に呼ばれないことについて、どう思っているのだろうか――。そんな質問をぶつけてみると、ハーフナーは気負うことなく現在の心境を語った。

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