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香川真司の移籍は?A・マドリードがマーケットの主役になる理由 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • 川森睦朗●写真 photo by Mutsu Kawamori/MUTSU FOTOGRAFIA

 また、今回は香川とスペイン代表MFコケとの交換トレードの話も出ているが、組織のしっかりした守備を形成するチームの要でもある生え抜きの選手を切り、新たに言葉の壁のある日本人を取ることは、アトレティコ・マドリードにとって何ひとつメリットがない。フアン・カサニェス記者も「絶対にありえない話」と否定をしている。

 香川のケース同様、「ブラジル代表FWディエゴ・コスタの後釜にアストンビラ(イングランド)のベルギー代表FWベンテケを獲得」や、「チェルシー(イングランド)でモウリーニョとの確執が言われているスペイン代表FWマタを獲得」といった報道もされているが、これらの可能性も限りなく低い。移籍先としてアトレティコ・マドリードの名前がたびたびあがるのは、欧州メディアにとって、ネタを提供する格好のクラブであるということだ。

 移籍市場でアトレティコ・マドリードが主役となる一つの理由は、クラブの経営難にある。近年は資金獲得のためにFWアグエロ(現マンチェスター・シティ/イングランド)、GKデ・ヘア(現マンチェスター・ユナイテッド)、FWフォルラン(インテル/イタリアを経て現インテルナショナル/ブラジル)、FWファルカオ(現モナコ/フランス)といった主力の放出を繰り返してきた。

 ただし、スペイン財務省に対しての債務も2013年までに約5000万ユーロ(約65億円)の返済を終え、現在は無理のないプランで返済することで財務省とクラブが合意に至っている。依然としてヘスス・ヒル会長時代に築いた債務、約8000万ユーロ(約104億円)の支払いという大きな重荷を背負っていることは確かだが、これまでのような主力放出が絶対に必要なほど、クラブの台所事情は苦しいものではない。

 実際、アトレティコはこの冬、ウクライナのメタリストから1000万ユーロ(約13億円)での買い取りオプションが付いたレンタル移籍で、アルゼンチン人MFホセ・ソサを獲得した。シメオネは現有戦力に満足しており、後半戦に向けての補強はすでに終了したというのが事実だ。

 この冬の補強が終了していることからか、すでに来季に向けてインテルのコロンビア代表MFグアリンやマルセイユ(フランス)のフランス代表MFバルブエナの名が、アトレティコの文字と共に新聞の見出しを飾っている。シメオネ好みの献身的かつ戦う気持ちを見せる選手は、真偽はともかく、今後もアトレティコ・マドリードへの移籍が噂されることになりそうだ。

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