ミランのオフィシャル誌編集長が明かす本田圭佑との初対面 (2ページ目)
撮影は彼のイタリア到着三日後、ミラネッロの中にあるフォトスタジオで行なわれた。現れた本田は少し疲れた様子だった。それもそうだろう。ミラノに来て以来、連日、記者会見だ、メディカルチェックだと休む暇もなかったのだから。それでも彼は嫌な顔ひとつせず撮影に応じてくれた。彼の英語力は会見で知っていたが、スペイン語も少し話せるので、英語、スペイン語、イタリア語の三ヵ国語が飛び交う楽しい撮影となった。チームメイトとのコミュニケーションにも今は英語を使っているようだが、この調子ならすぐにイタリア語も習得できるだろう。
本田は我々の注文にも一生懸命に応えようとしてくれた。日本人らしい真面目さと、なによりザックの言っていた仕事に対するプロ意識が感じられた。その印象は先日のサッスオーロ戦を見て確実なものとなった。
あの試合、アッレグリ監督の当初の計画は、ミランが格下のサッスオーロ相手に勝利を確実としたところで、本田を投入してみようというものだったはずだ。それがうってかわって最後の頼みの綱としての投入となってしまった(2-4のビハインドから投入)。これまでセリエAにやってきた外国人選手は数多いが、これほど難しい状況でイタリアデビューを果たした選手はそうはいないだろう。
新しいチームに移籍しての最初の試合はどんな選手でも非常に緊張するものだ。それが違う国のリーグであればなおさらだ。にもかかわらず、本田は終始冷静にプレイし、あまつさえ混乱気味のミランを率先して引っ張っていった。本田に対するミランの特別待遇に、それまで多少懐疑的だったイタリア・メディアも、翌日の新聞ではこぞって彼を絶賛していた。
試合後にアッレグリは解任され、ミランベンチにはタソッティを経てセードルフが座ることとなった。監督交代で今後、本田の出番が減ってしまうのではと皆さんは気を揉んでいるかもしれないが、その心配はまずないだろう。有能な監督ならば必ずや彼の才能に気づき、その力を最大に引き出してくれるはずである。
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