熾烈すぎる南米予選。日本に圧勝したウルグアイが敗退? (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 そのアルゼンチンに続いて、本大会出場に大手をかけているのが、コロンビアとチリの2チームだ。チリは前回大会にも出場しているが、現在2位につけているコロンビアは、仮に本大会出場権を手に入れれば、1998年大会以来の表舞台となる。

 そのコロンビアの全盛期と言えば、バルデラマ、アスプリージャ、バレンシア、リンコンら個性豊かなタレントを揃えた1994年アメリカ大会のドリームチームだろう。しかしながら、20年前は大会期間中に脅迫事件に遭うなど、本来の実力を発揮できず、まさかのグループリーグ敗退。しかも敗退後には、CBエスコバルが何者かに射殺されてしまうという悲劇も起こり、世界中のサッカーファンに大きなショックを与えた。

 幻と消えた当時のドリームチームは、中盤のバルデラマを中心に、独特のリズムでショートパスを連続させる攻撃サッカーでファンを魅了した。今回は、そのスタイルとはまったく異なるものの、当時のチームに負けず劣らずの実力を持ち、本大会に出場すればダークホース的存在として注目が集まること請け合いだ。その原動力となっているのは、現在チームを率いるアルゼンチンの名将ホセ・ペケルマンであることに、疑いの余地はない。

 ペケルマンが監督に就任したのは、今予選のスタートダッシュに失敗した前任アルバレス監督から引き継いだ2012年1月のこと。もともと、現在のチームは伸び盛りの若いタレントたちを豊富に揃えていたのだが、チームとしてのまとまりに欠き、それが予選の結果にも表れていた。ところが、ペケルマンが監督に就任すると、高いプロ意識と規律を持ち込んだことで、流れが一変。試合を重ねるごとに成長し、見違えるようなチームに変貌して勝ち星を重ねていったのである。

 今のコロンビアには、注目すべき選手が多い。今夏アトレティコ・マドリードから6000万ユーロ(約78億円)の移籍金でモナコに加入したエースのファルカオを筆頭に、FW陣にはジャクソン・マルティネス(ポルト/ポルトガル)、バッカ(セビージャ/スペイン)、グティエレス(リーベル・プレート/アルゼンチン)、そして若手のムリエル(ウディネーゼ/イタリア)らがひしめきあっている。そして攻撃的MFには、ファルカオとともにモナコに移籍したテクニシャンのハメス・ロドリゲス、フィオレンティーナのクアドラード、あるいはインテルのグアリンなど、指揮官が試合ごとに調子のいい選手を入れ替えられるほど、戦力が揃っているのだ。

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