マンU監督モイーズは彼なりの選手との距離を見つけなくてはならない
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】監督の仕事とは?(後編)
「チーム・スピリット」もフットボールでは大げさにとらえられているコンセプトだ。フットボールの世界では、チームが負けたのは選手同士の関係が悪いからだとされることがある。しかし、たいていは話の順序が逆で、チームが負けているから選手同士の関係が悪くなるのだ。フットボールクラブは「兄弟たち」の集団ではなく、むしろ感傷を排した専門職のグループだ。
デイビッド・モイーズ(マンチェスター・ユナイテッド、左)とジョゼ・モウリーニョ(チェルシー)。現地時間8月26日の対戦は両チームの指揮官に注目が集まる(photo by GettyImages) さらに過大評価されているのが、監督同士の言葉の応酬だ。ジャーナリストたちはこれを「心理戦」と呼ぶ。
リバプールのDFだったジェイミー・キャラガーは洞察力に満ちた回想録『キャラ』の中で、マンチェスター・ユナイテッドのファーガソンと当時リバプールを率いていたラファエル・ベニテスの「心理戦」について書いている。
「私はラファ(ベニテス)の記者会見での発言がタイトルの行方を左右したかのように書いている記事をいくつも読んだ。どうしたら、そんなたわごとが書けるのか。(中略)監督同士の舌戦などより、選手のプレイのほうが重要なはずではないか。しかし今、フットボールの歴史はそのように書かれているのだ」
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