モイーズはマンチェスター・ユナイテッドの成績を上げることができるか
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】監督の仕事とは?(前編)
ジャーナリストでも、ときには運に恵まれることがある。今年3月、僕はフィンチ・ファームにあるエバートンのトレーニング場で1日を過ごした。当時の監督だったデイビッド・モイーズには会えなかったが、彼のオーラは十分に感じられた。何人ものスタッフと話をしたのだけれど、誰もがモイーズに敬意を払っていることがわかった。5月4日、僕はエバートンでのモイーズの仕事について書いた記事を新聞に掲載した。
マンチェスター・ユナイテッドを指揮するデイビッド・モイーズ監督。エバートン時代は限られた予算で好成績をあげるとの評価を得た。左はウェイン・ルーニー(photo by GettyImages) その5日後、フットボール界で最も重いともいえるポストにモイーズが就任することが発表された。マンチェスター・ユナイテッドの監督を勇退するアレックス・ファーガソンの後任になるというのだ。
フィンチ・ファームで1日を過ごしたおかげで、僕はモイーズがユナイテッドでやろうとしていることを理解するヒントを得られた。同時に、監督の仕事を理解するヒントを得ることもできた。フットボール監督の仕事には世界中が関心を持っている。まともなメディアでも、ファーガソン勇退のニュースをパキスタンの総選挙より大きく扱った。しかしこの関心の大きさは、フットボール監督の仕事をロマンチックに評価しすぎているためでもある。
僕が監督の仕事についてより深く考えはじめたのは2007年。トルコのイスタンブールで開かれたイベントで、スポーツ経済学者のステファン・シマンスキーと知り合ってからだ。
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