プレミアリーグ開幕。今年の主役は「レッド」から「ブルー」へ? (3ページ目)

  • 鈴木英寿●文 text by Suzuki Hidetoshi
  • photo by AFLO

 今季からリーガ・エスパニョーラで実績を積んだチリ人指揮官のマヌエル・ペジェグリーニが監督に就任。戦術的には、より精巧なパスサッカーへの進化が期待できる。前線の軸だったカルロス・テベスがユベントスに去ったとはいえ、純粋な戦力値だけで見れば、プレミアナンバーワンといっても過言ではなく、複数の現地メディアもそのような評価を与えている。事実、人気解説者のひとり、アラン・ハンセン(元リバプール/元スコットランド代表)は、「昨季もマンチェスター・シティとチェルシーは、マンチェスター・ユナイテッドよりもタレント性で上回っていた」と指摘している。さらに今季は、中盤にボランチタイプのMFフェルナンジーニョ(ブラジル代表/シャフタール・ドネツクより加入)を加え、テベスの抜けた穴は、FWステファン・ヨベティッチ(モンテネグロ代表/フィオレンティーナより加入)、FWアルバロ・ネグレド(スペイン代表/セビージャより加入)らで補った。こうしてみると、シティは昨季以上に、質・量ともにスカッドが強化されたという印象を受ける。

 だが、ハンセンは、昨季の王者ユナイテッドは、「チームワーク、組織力、運動量」において、ふたつの「ブルー」を凌駕していたと指摘。勝負どころでレッド・デビルス(ユナイテッドの愛称)は、「勝利を引き寄せるようなタックル」で守備を引き締め、通算20回目となる戴冠を果たしている。モイーズ監督はこの夏の移籍マーケットで、ルーニーの流出阻止、そしてセスク・ファブレガス(バルセロナ/スペイン代表)獲得による中盤強化をノルマとしてきた。だが、それ以上にプレシーズンを通じて、ハードワークの徹底、そして攻守の組織整備に全精力を傾注してきた。チームとしての完成度は、チェルシーやシティよりも上と見るべきかもしれない。

 トップ3の対抗馬は、昨季4位のアーセナルか。アーセン・ベンゲル監督は現在、リバプールのルイス・スアレス(ウルグアイ代表)獲りに本腰を入れている模様。昨季リーグ得点ランキング2位のストライカーを手に入れることができれば、アーセナルの優勝予想オッズはさらに上がり、一方、スティーブン・ジェラード(イングランド代表)以外は小粒なタレントばかりと言われているリバプールの予想オッズは下落するだろう。

 いずれにせよ、今季は打倒「レッド・デビルス」を目指す、ふたつの「ブルー」の挑戦から目が離せないシーズンになりそうである。

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