シーズン開幕前から話題独占のバイエルン。ドイツ各チームの新戦力は? (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Royokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 一方、細貝のこだわりは試合に出ること、それもボランチでプレイすることにあった。レバークーゼンでは主に左SBとして出場。それでも前半戦は主力として扱われていたが、後半戦に入るとぱったり出場機会がなくなった。レバークーゼンは今季、チャンピオンズリーグの本戦からスタートする。憧れの舞台を前に心は揺れたようだが、一か八かのチャンスに賭けるよりも、自分の成長を選んだ。ヘルタのルフカイ監督はアウクスブルク時代に細貝を中盤で起用し、絶対の信頼を寄せる指揮官だ。細貝には他にも強豪からのオファーがあったが、ルフカイがボランチで起用してくれることを前提にヘルタへの移籍を決意している。

 ブンデスリーガ全体を見ると、大きな動きがあるのはやはりバイエルンとドルトムントの2強だ。だがその動き方は対象的。有名選手を連れてくるバイエルンに対し、ドルトムントはかつての香川真司のような無名選手を積極的に補強している。バイエルンのスポーツディレクター、ザマーは、ライバルが獲得した選手に対し「あまりよく知っている選手ではないが、ブンデスリーガとドルトムントにとって良い補強だということは分かる」と、発言している。

 バイエルンの補強はマリオ・ゲッツェから始まった。ドルトムント生え抜きのエースの獲得はドイツ国内では驚くべき出来事だった。その後、バルセロナのMFチアゴ・アルカンタラを、最後までマンUと争いながら完全移籍で獲得。その一方、マンジュキッチの控えに甘んじながらリーグ戦だけで11ゴールをあげているマリオ・ゴメスはフィオレンティーナへと去っている。他には期待の若手DFキルヒホフをマインツからフリーで獲得、バイザーをレンタル先のカイザースラウテルンから戻すなど、レギュラークラス以外も着実に補強している。

 ゲッツェが去ったことで資金は豊富になったドルトムントだが、それが反映されるのは まだ先ということだろうか。これまでに獲得したのはブレーメンからDFパパスタソプロス、シャフタールからMFムヒタリャン、サンテティエンヌからガボン代表FWオーバメヤンと、無名の選手ばかり。控えCBとして貴重な存在だったサンタナがシャルケへ移籍するなど、選手層にも不安が残る。
 

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